今回も、クラニオセイクラルの療術にまつわることから、普段の生活の役に立つかもしれない"関係性のニュートラル"についてご紹介をさせていただきます。
関係性のニュートラルとは、セラピスト(プラクティショナー)とクライアント(セラピーを受ける方)の関係性が中立であるという意味です。
つまり、どちらにも、精神的、身体的苦痛のない、負荷がかかっていない関係性と言う事が出来ると思います。
この中立さも、クラニオセイクラルの教えの初期の段階で学ぶ、重要な概念であります。
そして、同じように、この関係性のニュートラルの学びも生涯かかって学び続ける程の大きなテーマであるとも言うことができると思っており、また、関係性のニュートラルとは、同じく身体の状態に基づいた、心や精神の状態を表すことが多く、わかりやすく説明できるように、関係性のニュートラルが築けていない状態の例を少し挙げたいと思います。
・プラクティショナーが、クライアントに触れる際、クライアントさえ心地よければよいと考え、自分が多少困難な姿勢であっても我慢をして、犠牲心を払っている状態。
・クライアントがプラクティショナーに権威的な圧力を感じ、遠慮してしまい、不快な触れ方であるが何も言わず我慢して萎縮している状態。
そのほかにも、たくさんの状況が考えられますが、このような関係性のニュートラルが無い状態のまま、セッションを開始してしまうと、癒されるどころか、逆の効果が出てしまうことすらありえる、全くもって危険な状態です。
しかし、よく考えて見ますと、我々が生きるこの社会では、当たり前のように関係性のニュートラルが無い状況が多々あります。
おそらく、職場環境、雇用主と従業員の関係、上司と部下の関係
あって欲しくはありませんが、家族内での親子、兄弟、夫婦関係など
そして、大きなくくりではありますが、数々の国家間の問題を考えましても大いにニュートラルが崩れている状態であります。
クラニオセイクラルのセラピストは、ほとんど、セッション中に自分自身がニュートラルに入る訓練はできているでしょう。そして、クライアントをニュートラルにいざなう訓練もできています。もちろん私も、そのように教えていただきました。
しかし、そのニュートラルの関係性を、セッションから離れた場所で、クライアント以外の方々と築いていくことは、本当に大きなチャレンジです。
必ずしも毎回上手く行くとは限りませんが、それが築けたときは、自分にとっても、相手にとっても大きな財産になるということを経験できました。
その経験は、このクラニオセイクラルを学んで得ることの出来た大きな恩恵であると実感し、先生方や関わる人に心から感謝しています。
もし、クラニオセイクラルの経験から私が教えていただいた事を、現実の社会で生かせるように言い換えるとするのであれば、
それは、まず、自分自身がニュートラルであることが、今、目の前にいる人のニュートラルへの導入を助けることができると言うことができます。
以前のブログ、ニュートラル①やバウンダリー①でもお話していますが、
ニュートラルという自分の中の葛藤を含む、相反する感情の中心にある、静かな場所にたたずみ、適切な距離感や境界線を保ち、相手の問題と自分の問題を区別し、そして、自分の身体の状態を中心軸ミッドラインにいるのかどうかをもう一度、確認することなどを試み、
まず、自分から始めることが、相手を変えようとする前に行うべき価値ある心的な行いだと思います。
しかしながら、私はこうして、ニュートラルについて語っていますが、時に、怒ったり泣いたりする一人の人間としての感情を持っています。
ニュートラルになる手段を教わったからと言って、人間としての、感情に揺れない状態、または喜怒哀楽がない状態になるわけではありません。
ただ、ニュートラルに戻ることを教えていただいたことで、“ニュートラルの静けさの中にある変容を何度も経験しているため、ニュートラルの偉大さへの信頼を持っている”に過ぎないとも言えます。
私は、自分の内側に感情が込み上げた時に、その感情を自分のものとして、深く体感し、味わうようにしています。
それがポジティブな感情であろうと、ネガティブな感情であろうと、これは自分の感情だと、自分が慈しんで味わうことで、自分を大切にするという自己尊重の気持ちを込めます。
自分の感情を大切にすることができれば、自然に、目の前にいる人の感情を大切にすることができると信じているからです。
潜在意識の中では、自他同一性といって、自分と他人の区別が無いそうです。
��このお話につきましては、また機会があるときにさせてください。)
自分の感情を受け取れることが出来る、つまり、自分の感情を意識化することが出来れば、逆に、自分の感情に振り回されることがなくなります。
無意識下にある感情は、たくさんあるのでしょうが、少なくとも、今、自分で気がつくことができる感情からは、自由になることができます。
それを冷静に相手に伝えることも出来るでしょう。
感情の荒波の影響から少し離れて、お互いにとっての中立的な位置、つまり、静けさのポイントに立つ事が出来ます。
ニュートラルの静けさからの変容の恩恵を受けて、関係性がお互いにとって負荷がかからないものに、変容していく大きなきっかけとなります。
クラニオセイクラルではまた、ネゴシエーションと言って、クライアントとの関係性のニュートラルに入るための交渉、コミュニケーションをしていく方法を学ぶのですが、この学びも大変奥の深いものです。
コミュニケーションの方法は、言葉のみならず、たくさんの手段があり、そのツールがあればあるほど、自分を支えてくれるものであると思いますが、私にとってのコミュニケーションとは、自分の感情を大切にすることから始まるということであります。
最後に、自己啓発書として有名な「7つの習慣」という本に紹介されている第4の習慣「Win-Winを考える」についての内容を紹介いたします。
(Franklin Planner Organizer序文より引用 )
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「Win-Winを考える」といのは、人に優しくすることでもなければ、手っ取り早い解決手段でもありません。これは表面的なやり方ではなく、内面的なもの、(人格)をベースに、本質的な人との相互関係や、協調関係の構築を目指すものです。
私たちの多くは、それまでの経験によって、自分の価値を比較や競争に基づいてはかるようになっています。誰か他の人が失敗すれば、自分の成功と捕らえるのです。
Win-Winは、人生を競争ではなく、強調の場としてとらえます。Win-Winは、あらゆる対人関係の相互利益をつねに探るという考え方と心持であり、互いの利益となり、互いに満足できる合意、または解決策を意味します
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クラニオセイクラルの学びは、自然科学や芸術の中に満ち溢れていると以前、申し上げましたが、このような優れた自己啓発書の中にも、その本質があります。
ビジネスの現場で、どちらかが勝ち、どちらかが負けるというのは、当然のように行われておりますが、関係性のニュートラルではありません。
このWin-Winの考え方において、どちらかが負けてしまうような取引、Win-Loseまたは、Lose-Winになってしまう取引はしないNo dealという選択が提案されています。
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Win-Winの考え方では3つの必要不可欠な人格の要素を持つと考えられています。
①誠実:自分の本当の気持ち、価値観に誠実であり、約束を守る。
②成熟:自分のアイデアや気持ちを表現し、他の人のアイデアや気持ちに対し、思いやりと勇気をもって表現する。
③豊かさマインド:全ての人に十分に行きわたるだけあると信じる。
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3つの必要不可欠な人格の要素においては、①自分の気持ちや、価値観に対して誠実であることが大切であると述べられており、この誠実さは、②の周囲の人々の気持ちや、価値観を大切にすることへつながる事が示唆されています。
そして、③豊かさマインド、全ての人に行きわたるだけあると信じるという表現がされていますが、これは、クラニオセイクラルでは、リソース(資源)という用語があり、類似した考え方であります。
また、この考え方についても、いずれご紹介できればと思っております。
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多くの人々は、2分法で考えます。優しいか厳しいかのどちらかだと。しかしWin-Winはあなたに優しさと厳しさ、勇気と思いやりのバランスをとることを求めます。
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まさに、ニュートラル、中立に対する心的な態度が表現されております。
関係性のニュートラルが成立するためには、まず、自分自身の状態がニュートラルであること、そして、そこから家族との関係性のニュートラルが確立され、それがやがて、他者をふくむ、社会とのニュートラル、やがては国家間のニュートラルに発展していくことが出来たらどんなに素晴らしいことでしょう。
しかし、このように、一筋縄ではいかない内容であり、私も試行錯誤の連続でありますが、こうして紹介させて頂く事が、万が一、お読みくださるあなたにとって、何かのお役にたてれば大変嬉しく思います。
ここまでお読みくださってありがとうございました。
またのご訪問を心よりお待ちしております。
中満整体
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